少人数で短時間で遊べる「ワンナイト人狼」。
嘘が嫌いな方は苦手とするゲームではあるが、論理的な思考を養うには良いゲームだ。
この記事では、ワンナイト人狼を3人でプレイする時の戦略について考察する。
この記事ではそれぞれパターン分けして詳しい考察を解説しているが、複雑で難しいと感じた方は以下の3人プレイでの進行例の記事の方が理解しやすいので、そちらをお勧めする。
前提条件(3人プレイ時の配役と考察条件の設定)
まず、今回考察するワンナイト人狼(3人プレイ)の前提条件は下記のとおりとする。
チェックポイント
・配役は「占い師」「怪盗」「村人」「人狼」の4種類
・「人狼」は2枚、他の配役は各1枚の合計5枚で配役を決定する
・「人狼」以外の配役(「人間陣営」の配役)は嘘を言わない
・配役の宣言順序は考慮しない(全員が最終的な配役を認識した状態で考察)
・「人狼」は議論前に、他の「人狼」がいないか確認できる
・「占い師」は誰か1人の配役または墓地の配役(使われていない配役)を確認できる
この前提条件では、配役の組合せは全部で10通り(5C3=10)となる。
具体的には下記10通りの組合せがある。
人狼は2枚あるため、区別するために「人狼1」「人狼2」とする。
- 「占い師」「人狼1」「人狼2」
- 「怪盗」「人狼1」「人狼2」
- 「村人」「人狼1」「人狼2」
- 「占い師」「怪盗」「人狼1」
- 「占い師」「怪盗」「人狼2」
- 「占い師」「村人」「人狼1」
- 「占い師」「村人」「人狼2」
- 「怪盗」「村人」「人狼1」
- 「怪盗」「村人」「人狼2」
- 「占い師」「怪盗」「村人」
配役の確率としては、次のとおりとなる。
・「人狼」が2人いる確率:30%
・「人狼」が1人いる確率:60%
・「人狼」がいない確率:10%
そのため、確率的には人狼が1人以上いると想定した方が良いだろう。
はじめに結論として、今回の前提条件での定石として以下のポイントが挙げられる。
チェックポイント
・「村人」「人狼」ともに最初に自分を「村人」と宣言してはいけない
・「人狼」は自分を「人狼」と宣言してはいけない
結論の詳細について、それぞれの場合の戦略考察をもとに解説する。
「人狼」が2人いる場合
「人狼」が2人いた場合、「人間」側が圧倒的に不利な条件でスタートする。
この場合、「人間」側が勝つ方法は1つのみ。
「人間」側が「怪盗」で、「人狼」の1人と配役を交換したと「人狼」側に認識させる方法しかない。
最初に自分を「占い師」または「村人」と打ち明けた場合、「人狼」2人が結託して「人間」を吊れば必ず勝てるからだ。
ゲーム進行役の「占い師」が最初に配役を打ち明けるのは仕方ない。
しかし、「村人」が最初に配役を打ち明けるのは悪手である。
そして、「人狼」2人は残る1人が「怪盗」ではないことを確認するように議論を進める必要がある。
「人狼」が1人いる場合
「人狼」が1人いる確率が最も高いため、基本的には「人狼」が1人いると想定して動くべきである。
この時、「人狼」には次の2つの行動は推奨できない。
- 「人狼」が自分を「人狼」または「村人」であると宣言すること
- 「人狼」が自分を「占い師」と宣言した後、墓地の配役を確認したと嘘をつくこと
まず、「人狼」が自分を「人狼」と宣言した場合、「怪盗」が「人狼」と配役を交換したと周りに認識させるしか勝つ方法がない。
「怪盗」が1人いて、なおかつ「人狼」と配役を交換するという確率の低いケースを想定するより、「人狼」であることを打ち明けた明らかに怪しい1人を吊る方が自然なため、この方法の勝率は低い。
また、「人狼」が自分を「村人」と嘘の宣言をした場合も、勝てる方法が少ない。
詳細は後述のパターン2にて解説する。
次に、「人狼」が自分を「占い師」と嘘の宣言をした後、墓地の配役を確認したと嘘をついた場合、「人狼」は墓地2枚の配役を当てなければならない。
最初に「人狼」が1人だと確認しており、墓地の1枚は「人狼」であることは確定しているため、実際当てる配役は残り1枚のみである。
しかし、たとえ配役を当てたとしても、他の「人間側」2人にはそれが真実か確認する方法がない。
そのため、墓地の配役を当てるよりも誰か1人を占ったことにして、その1人の配役を当てることに賭ける方が良い。
なぜなら、配役を当てた場合、配役を当てられたプレイヤーは「人狼」を「占い師」と信じる可能性が高いためである。
この時、「人狼」が当てる配役は「占い師」以外にしなければならない。
なぜなら、「人狼」が自分を「占い師」と嘘の宣言をした状態で、他に「占い師」がいる場合は矛盾が生じるからである。
「人狼」が上記の推奨できない2つの行動をしない前提で、「人狼」の行動パターンを次の3つの場合分けで考察する。
- 「人狼」が自分を「占い師」と嘘をつく場合
- 「人狼」が自分を「村人」と嘘をつく場合
- 「人狼」が自分を「怪盗」と嘘をつく場合
「人狼」が自分を「占い師」と嘘をつく場合
ケース1.3人の中に「占い師」がいない場合
配役が「人狼(占い師)」「怪盗」「村人」のケースで考察する。
この場合、「人狼」が占い師と信じてもらえる可能性が高い。
あとは「人狼(占い師)」が自分以外の2人のうち、どちらか1人の配役を当てることができれば、残り1人が「人狼」または「人狼」がいない方向に話を進められる。
ここまで進められれば、ほぼ「人狼」の勝ちといえるだろう。
(ただし、「怪盗」が「人狼」となる恐れはある)
この方法は、配役を間違えた場合は「人狼」とバレる恐れがある。
また、「人狼(占い師)」は占い先のプレイヤーが「人狼」だと嘘の宣言をする方法もある。
この場合、「村人」と「怪盗」のどちらを「人狼」と宣言するかで結果がわかれる。
「人狼(占い師)」から「人狼」と宣言された者の配役が「村人」の場合、残る1人は「怪盗」となる。
この場合、「怪盗」の行動で勝敗が左右されるが、基本的に「人狼」は負けとなる。
「怪盗」が「人狼(占い師)」と配役を交換した場合、「人狼(占い師)」の宣言通り「村人」を吊れば、人狼となった「怪盗」の1人勝ちである。
「怪盗」が「村人」と配役を交換した場合、「村人」と「怪盗」には「人狼(占い師)」の嘘がわかるため、多数決で「人狼(占い師)」が吊られることになる。
次に、「人狼(占い師)」から「人狼」と宣言された者の配役が「怪盗」の場合、残る1人は「村人」となる。
この場合、議論の内容をもとに「村人」に判断が委ねられる。
「村人」は「怪盗」が「人狼」と配役を交換した可能性も考慮して、最終的に判断する必要がある。
ケース2.3人の中に「占い師」がいる場合
配役が「人狼(占い師)」「占い師」「怪盗」または、「人狼(占い師)」「占い師」「村人」のケースで考察する。
この場合、2人が自分を「占い師」と宣言するため、どちらかが「人狼」となる。
残る1人が「怪盗」の場合、ケース1と同様で基本的に「人狼」は負けとなる。
この時、「人狼」の行動としてリスクが低いのは、占いの結果でもう一人の「占い師」が「人狼」と宣言することだ。
なぜなら、配役不明の残り1人の配役を当てる場合、配役を当て間違えたら確実に自分が「人狼」だとバレるからだ。
逆にいえば、「占い師」が2人いる場合、残り1人の対応としては自分の配役を当てた「占い師」の証言が正しいと考えるのが定石といえる。
ただし、これはあくまで可能性の問題であり、絶対ではない。
「人狼」が、自分を「村人」と嘘をつく場合
ケース1.3人の中に「占い師」がいない場合
配役が「怪盗」「村人」「人狼(村人)」のケースで考察する。
この場合、「怪盗」がゲーム進行役となる可能性が高い。
「怪盗」が「村人」と配役を交換した場合、残る1人は「人狼」と認識される可能性が高い。
(村人の配役は1枚しかないため)
もしこの時点で「人狼」が自分は「村人」と宣言していた場合、高確率で吊られてしまう。
そのため、「人狼」が最初に自分を「村人」と嘘の宣言をするのは悪手である。
次に、「怪盗」が「人狼」と配役を交換した場合、正直に「人狼」と交換したと打ち明けると自分が吊られてしまう。
このケースに限っては「怪盗」が「人狼」となるため、「怪盗」が嘘をつく必要がある。
「怪盗」目線ではこの場合、消去法で残り1人が「村人」または「人狼の2人目」となる。
この時、「怪盗」の行動としてリスクが低いのは、残り1人を「村人」と決めて配役を交換したと宣言することだ。
残り1人が本当に「村人」であれば、「怪盗」が配役を交換した元「人狼」を吊り、「怪盗」の一人勝ちとなる可能性が高い。
もし「人狼」が2人いたとしても、自分が「怪盗」と宣言しているため、嘘がバレても元々の「人狼」側には自分が配役を交換されたリスクを考える必要がある。
ケース2.3人の中に「占い師」がいて、「人狼」を占った場合
配役が「占い師」「怪盗」「人狼(村人)」または「占い師」「村人」「人狼(村人)」のケースで考察する。
この場合、「人狼」は自分を「村人」と宣言した時点で負けとなる。
なぜなら、残る1人が「怪盗」の場合、「怪盗」はどちらと配役を交換しても「人狼」を吊れば勝てるからである。
「人狼」の唯一の勝ち筋としては、「怪盗」が「人狼」と配役を交換したケースを主張することだ。
しかし、そのケースを信じてもらうことは難しく、勝率は低いだろう。
残る1人が「村人」の場合、「人狼」が「村人」と宣言した時点で村人2人で矛盾しているため、「人狼」が吊られてしまう。
ケース3.3人の中に「占い師」がいて、「人狼」以外を占った場合
配役が「占い師」「村人」「人狼(村人)」のケースで考察する。
この場合、「村人」が2人いる時点で矛盾が生じるため、「村人」のどちらかが「人狼」であることがわかる。
そして、「占い師」が占っていない方が「人狼」と思われるため、基本的に「人狼」の負けとなる。
そのため、「人狼」が自分を「村人」と宣言して勝負になるのは、配役が「占い師」「怪盗」「人狼(村人)」のケースのみである。
配役が「占い師」「怪盗」「人狼(村人)」のケースで考察する。
「占い師」が「怪盗」を占う場合、以下の進行が考えられる。
「怪盗」が「占い師」と配役を交換した場合、残る1人が「村人」と「人狼」のどちらであるかで議論される。
「人狼」は、まわりに自分を「村人」と信じてもらえれば勝利できる。
「怪盗」が「人狼」と配役を交換した場合、「怪盗(人狼)」は「占い師」と配役を交換したと嘘をつくと思われる。
そのため、「怪盗」が「占い師」と配役を交換した場合と同様の議論となるだろう。
その場合、「人狼」はいないとするか、「怪盗」に配役を交換された元「人狼」が吊られることが多い。
どちらを選んでも、「怪盗(人狼)」の勝ちパターンとなる。
つまり、「人狼」が自分を「村人」と嘘の宣言をした場合の勝ち筋は多くないことがわかる。
以上の考察から、「ワンナイト人狼」の3人プレイでは、基本的に「人狼」が自分を「村人」と宣言することは悪手である。
「人狼」が、自分を「怪盗」と嘘をつく場合
ケース1.3人の中に「占い師」がいない場合
配役が「怪盗」「村人」「人狼(怪盗)」のケースで考察する。
この場合、「怪盗」が2人となるため、どちらかが「人狼」と認識される。
そのため、議論の内容をもとに「村人」に判断が委ねられる。
ケース2.3人の中に「占い師」がいて、「人狼」を占った場合
まず、配役が「占い師」「怪盗」「人狼(怪盗)」のケースで考察する。
この場合、「占い師」は「人狼」を占っているため、「人狼(怪盗)」が嘘をついていることがわかる。
また、「怪盗」は1枚しかないため、「怪盗」も「人狼(怪盗)」が嘘をついていることがわかる。
「怪盗」が「占い師」と配役を交換した場合は、「人狼(怪盗)」を吊る流れになるだろう。
「怪盗」が「人狼」と配役を交換した場合も、「怪盗」は交換先または自分の配役を誤魔化して、「人狼(怪盗)」を吊る流れにもっていくはずだ。
そのため、「人狼」の勝ち筋は本物の「怪盗」が「人狼」と配役を交換したと信じてもらうことだけだ。
しかし、その発言を信じてもらうことは難しく、このケースでは基本的に「人狼」は自分を「怪盗」と宣言した時点で負けとなる。
次に、配役が「占い師」「村人」「人狼(怪盗)」のケースで考察する。
この場合、「人狼」が「占い師」と配役を交換したと嘘をついた場合、「占い師」の「人狼」証言と矛盾が生じる。
そのため、「人狼」の勝ち筋としては、残る1人の「村人」と配役を交換したと宣言して、議論の内容をもとに「村人」に判断を委ねるしかない。
ケース3.3人の中に「占い師」がいて、「人狼」以外を占った場合
まず、配役が「占い師」「怪盗」「人狼(怪盗)」のケースで考察する。
この場合、「怪盗」が二人いる時点でどちらかが人狼であると認識される。
「怪盗」は「人狼」と配役を交換した場合、「占い師」と配役を交換した、または自分を「村人」と嘘の宣言をするケースが考えられる。
このケースに限っては、「占い師」が「怪盗」の嘘を見破れる場合もあるため、配役の宣言順序も含め、「怪盗」の行動を考慮した判断が必要となる。
次に、配役が「占い師」「村人」「人狼(怪盗)」のケースで考察する。
この場合、「人狼」が交換した1人の配役を当てれば「人狼」はいないという結論になる可能性が高く、「人狼」に有利となる。
以上の3パターンの考察から、「人狼」は基本的に「占い師」または「怪盗」のどちらかを宣言した方が良い。
「人狼」がいない場合
この場合、配役は「占い師」「怪盗」「村人」の1パターンのみである。
配役の宣言順序が重要ではあるが、基本的に「占い師」と「怪盗」の2人が別々のプレイヤーの配役を当てることができれば、「人狼」がいない可能性が高い。
まとめ
以上が今回の前提条件でのワンナイト人狼の戦略考察となる。
考察内容から導き出せる定石として、冒頭に挙げた次の2つのことがいえる。
チェックポイント
・「村人」「人狼」ともに最初に自分を「村人」と宣言してはいけない
・「人狼」は自分を「人狼」と宣言してはいけない
また、「ワンナイト人狼」の3人プレイでは、今回の前提条件で考察した結果、次の傾向があると考える。
チェックポイント
・30%の確率で「人狼」2人となるため、比較的「人狼」が有利なルールである
・「怪盗」は自分が勝てる立ち回りをできるケースが多く、有利である
この記事が参考になった方で、4人プレイもしくは5人〜7人プレイでの戦略考察を知りたい方は、下記の記事をお勧めする。
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